- 余韻に浸れる、生々しい音の響き
- 見た目に反して装着感は軽くて良好
- ボリュームステップ最適化機能が便利
- 歌物などとの相性の悪さ
- TWSなのにTWSっぽくない使用感
総合評価 |
|
8/10 |
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追記:2023/10/20のファームウェアアップデートでマルチポイントに対応
TWSコレクターの猫居です。
今回レビューするのはfinalの完全ワイヤレスイヤホン、ZE8000。
音質特化型のハイエンドTWSです。
先に簡単な感想から書いてしまいますと、これまでのTWSでは味わえなかった良い音だと思います。
じゃあなんで評価が8/10なのかといいますと‥
全く合わない曲もあるので人を選ぶのが1つ。
後は音をじっくり追わないと良さがわかりにくいところ。
腰を据えてリスニングしたほうが良いと感じたので、それってTWS的な使い方と相反するかなぁと。
いずれにせよどんなイヤホンか理解した上で買わないと後悔しそうです。
同じfinalのZE3000との聴き比べや他のANCイヤホンとの比較結果をレビューしていきます。
- final ZE8000の外観チェック
- final ZE8000のスペックと測定結果
- final ZE8000とZE3000の聴き比べ&詳細レビュー
- final ZE8000の使い方と注意点
- メリット・デメリットのまとめ
- 総合評価
final ZE8000の外観チェック
イヤホン本体
gif動画で雰囲気をチェック
イヤホンケース
ZE3000とのサイズ感比較
付属品
付属品リスト
- イヤーピース
- 充電用ケーブル
- 説明書類
- ダストフィルター
- アコースティック治具
final ZE8000のスペックと測定結果
ZE8000とZE3000のスペック比較表
ZE8000 | ZE3000 | |
価格 | 36,800円 | 15,800円 |
連続再生時間 | 5時間 15時間(ケース込) |
8時間 32時間(ケース込) |
コーデック | SBC AAC aptX aptX Adaptive (24bit/96kHz・ Snapdragon Sound対応) |
SBC AAC aptX aptX Adaptive (24bit/48kHz) |
防水性能 | IPX4 | IPX4 |
ノイキャン | ○ | ✕ |
外音取り込み機能 | ○ | ✕ |
専用アプリ | ○ | ✕ |
低遅延モード | ✕ | ✕ |
マルチポイント | ○ | ✕ |
ミドルクラスながら完全ワイヤレスイヤホンの中でトップクラスに音質の良いZE3000との比較。
機能が充実し、値段は2倍以上になりました。
しかし結局のところfinalに求められているのは音質の良さ。
ZE3000の2倍以上出しても欲しいと思わせるだけの音なのかが鍵となります。
重さ・サイズ実測値
ケースサイズ | 縦:60.2mm 横:76.3mm 高さ:30.3mm |
重さ | イヤホン:6.8g ケース:51.0g |
最近のTWSの中ではサイズ・重量共にかなり大きめです。
遅延測定結果
- SBC=284ms
- aptX Adaptive=308ms
100ms=0.1秒です。
この測定環境では有線イヤホンで50msほど遅延を観測します。
なので結果から-50msすると実態に近い数値となると思われます。
308-50=258ms。
約0.26秒の遅延です。
ゲームに使うには厳しい数値です。
Youtubeなどアプリ側である程度リップシンクしてくれるものは動画視聴も問題ないでしょう。
なお、これはaptX Adaptiveの高音質モードでの遅延。
満員電車などの混雑状況下で低遅延モードに入ればもう少し遅延は減ると思います。
交換イヤーピースについて
↑写真の通り、独自形状のイヤーピースを採用しています。
音質の安定化の他に耳に触れる部分すべてをシリコンで覆うことで装着感を柔らかくする狙いがあるそうです。
一応他のイヤーピースもハマりましたが装着感は明らかに見劣りしたので、デフォルトのものを使ったほうが良いかなと感じました。
final ZE8000とZE3000の聴き比べ&詳細レビュー
音質評価 8K SOUNDとは
『8K SOUND』と聞いてどんな音を思い浮かべるでしょうか。
自分はキラキラしたような寒色系の音を想像しましたが、そういった音とはちょっと違いました。
全体的な傾向はフラット。
そして音がとにかく分厚いです。
聴き始めは音の情報量の多さに圧倒されました。
低音の量感が過剰なのかな?
なんだか篭っているような?
みたいな感覚で、うーん‥というファーストインプレッション。
その後、ある程度聴き込んだり他のTWSと聴き比べてようやく理解が追いついてきたかなと。
漠然と聴いているとぼんやりとした音に感じてしまうのですが、1つ1つの音を聴き比べるとそのレベルの高さに気付かされます。
ZE8000はその新しさから短時間での試聴では理解するのが難しく、良いと感じても言語化が難しい体験となります。イヤホンというよりはハイエンドスピーカーでの聴取体験に近いと言えます。
— final (@final_audio) 2022年12月15日
finalの公式でも言及されている通り、響きがものすごくスピーカーっぽいんですよね。
最初ぼやけているように感じた低音もその響きの良さ、余韻からくるものだったのかなと。
高音のクオリティも高いです。
ZE3000もTWSの中ではトップクラスの高音ですが、ZE8000の方がより生々しく、そして余韻のある響き。
一方で中音・特にボーカルは聴き比べすればするほど艶の無い、モニター的な音。
曲によってはすごくそっけなく聴こえてしまうことも。
ZE3000のボーカルの方が生き生きとして聴こえます。
楽器へのフォーカスがバンバンに当ってボーカルが主役になれないという感じもしますね。
そんな感じなので合う曲・合わない曲もはっきり分かれます。
生音系、特にクラシックは非常に相性が良いです。
歌物は微妙かな‥。
相性の良い曲を聴いた時のポテンシャルは本当に凄くて、その生々しさはたしかにイヤホンっぽくないと思います。
逆に相性の悪い曲のときは盛り上がりの無い平べったさに辟易しまう。
誰にでもおすすめできるZE3000と違って人を選ぶ・曲を選ぶイヤホンです。
ノイズキャンセリングの比較結果
ノイズキャンセリングはかなり控えめです。
圧迫感の無いノイズキャンセリングといえば聞こえは良いですが‥
EarFun Free ProやVictor HA-A30Tとほぼ同じくらいの消音力だったので-28db相当ですかね。
ただ、ZE8000にノイズキャンセリングを期待している人はそれほどいないでしょう。
ANCが弱いからといって購入するかどうかの判断基準にはあまりならないかもしれません。
(参考)
⇒ノイズキャンセリングイヤホンのおすすめと最強がわかる比較表
外音取り込み機能の評価
イヤホンをしていないときとほぼ変わらない感じで外音が聴けます。
高音のカサつきも感じないので自然な『ながら聴き』が可能です。
しかし今度はノイズキャンセリングでの評価の逆バージョンといいますか‥
『ながら聴き』をあまり期待されるイヤホンではないと思いますし、なんなら『ながら聴き』してたら音の良さがわかりにくいイヤホンとさえ思います。
実際自分はこれで『ながら聴き』しようとは今のところ思ったことないです。
装着感は見た目に反して良好
大ぶりな見た目の割に装着感は悪くないです。
むしろ良いくらい。
圧迫感少なめで軽めのフィット。
しかし公式で謳われているような『つけていることを忘れる快適な装着感』かというと‥
そこまででは無いかな?
つけている感覚は全然あるけど圧迫感はないので長時間装着していられます。
マイク性能は非常に優秀
非常にクリアな音声通話が可能。
リアルにその場で声を聴いているかと思うほど。
今まで使ったイヤホンの中でも1,2を争うほどに高性能だと思います。
専用アプリ【final connect】の主な機能
ホーム画面
ANC/外音取り込み
4つのモードが選べるようになっています。
PROイコライザー
イコライザーは細かい調整が可能ですが大きな変化はつけられない印象です。
ボリュームステップ最適化
自分好みの適正音量付近で細かくボリュームステップを踏めるようにする機能です。
TWSでありがちな『ボリュームもうちょっとあげたいのに1個あげるとあがりすぎる』みたいなことが起きずに済みます。
非常に良い機能。
8K SOUND+
電池消費が激しくなる代わりにより高音質で聴けますという機能。
アプリ総評
操作方法のカスタマイズはできませんがシンプルで見やすいアプリだと思います。
イコライザーがちょっと使いにくいのは気になりますかね。
また、どうでもいいといえばどうでもいいことなんですが‥
アプリ内の通知。
これを開くと‥
ZE8000と関係のない通知で通知数が溜まっていくのが地味に嫌です 笑
final ZE8000の使い方と注意点
ペアリング方法
リセット方法
充電方法
付属の充電用ケーブルで充電できます。
急速充電5分で45分の音楽再生が可能です。
ワイヤレス充電には非対応。
操作方法
L側 | R側 | |
1クリック | モード切替 ・ノイキャン ・外音取り込み |
再生/停止 |
2クリック | 音量DOWN | 音量UP |
3クリック | 曲戻し | 曲送り |
長押し(2秒) | 風切り音低減 | ボイススルー |
すべての操作をイヤホンから行えます。
が‥
曲送り/戻しが3クリックはどうなんでしょう。
操作方法のカスタマイズもできないので慣れるしか無いですね。
注意点1:専用アプリからアップデート必須
アップデートしないと使えない機能があるのでアップデートは必ず行いましょう。
メリット・デメリットのまとめ
final ZE8000を選ぶメリット
余韻に浸れる、生々しい音の響き
finalの言う『ハイエンドスピーカーのような音』だなんて大袈裟だなぁと思っていましたが、聴いてみるとたしかに納得出来る部分も。
ZE8000の音の響きの美しさに良さを感じる人にとっては36,800円はむしろ安いと感じるくらいには良い視聴体験かと思います。
見た目に反して装着感は軽くて良好
見るからに装着感の悪そうな見た目ですが、予想に反して装着感はむしろ良いくらい。
イヤーピースの選択肢がないのは残念ですが、付け心地は良好といえます。
ボリュームステップ最適化機能が便利
かゆいところに手が届くとはこのこと。
自分の聴きたい音量にしっかり調整することができます。
final ZE8000を選ぶデメリット
歌物などとの相性の悪さ
合わない曲はほんとにそっけなくてつまらなく感じます。
歌物しか聴かないような人にはあまり合わないかもしれません。
TWSなのにTWSっぽくない使用感
- 集中しないと良さがわかりにくい音
- 持ち運びしにくいでっかいケース
- 弱めのノイズキャンセリング
外でそんなに音に集中してられないし、そもそも騒音があったら出来ないし、ケースはでっかいし‥
音から聴き方まで良くも悪くもTWSっぽくない感じ。
移動しながら手軽に楽しむというよりは腰を据えてじっくり楽しむタイプのイヤホンということを理解せず買うと後悔しそうです。
総合評価
メイン機能評価
音質 |
|
9.7/10 |
---|---|---|
ノイキャン |
|
4/10 |
外音取り込み |
|
9.5/10 |
装着感 |
|
8.5/10 |
使い勝手評価
操作性 | S・A・B・C・D |
---|---|
携帯性 |
S・A・B・C・D |
便利機能 | S・A・B・C・D |
通話品質 | S・A・B・C・D |
ZE8000は完全ワイヤレスイヤホンなのに腰を据えてリスニングする必要がある、持ち運べるけど座って聴いてねみたいなイヤホン。
ZE8000用のプレイリストとか作って流せば面白いかな?
そこまでしないと楽しめないハイエンドTWSっていうのもどうなんだって思いますが、そういうイヤホンです。
有線イヤホンでは表現できないサウンドらしいですし、これはこれでアリではないでしょうか。
スピーカー的なサウンドが好み、余韻に浸れる音が好みという方は他のどのイヤホンにもない魅力を感じられると思います。
主題であるZE8000とZE3000、どちらがオススメかといえば‥
どんな曲も万能にこなして値段も安いZE3000の方が人にはおすすめしやすいですね。
ZE8000が気になる方はfinal公式で購入すれば30日間は返品ができるそうなのでまずはじっくり試聴してみることをおすすめします。
今回は以上となります。
また次回のレビューでお会いしましょう。