- Apple Music限定だが空間オーディオは臨場感抜群
- ノイズキャンセリングは2万円台ではかなり強力な部類
- “ながら聴き”可能な外音取り込み機能
- カスタマイズ性の低さ(イコライザーが無い等)
- マルチポイントや低遅延モードも無し
総合評価 |
|
8.5/10 |
---|
TWSコレクターの猫居です。
今回レビューするのはBeatsの完全ワイヤレスイヤホン、Studio Buds+。
前作Studio Budsからノイズキャンセリングが1.6倍、外音取り込み機能は2倍向上したというアップグレードモデルです。
64台のスピーカーに囲まれているかのような体験ができるという空間オーディオ機能を搭載。
装着感や音質も改善されているようなのですべての面でパワーアップが期待されます。
ただ、前作は2万以下で買えたのに今作は24,800円と価格面でもパワーアップしているのが気になるところ。
ライバルもワンランク上の価格帯のイヤホンになるわけですが、それらと比較してどうなのか。
チェックしていきます。
Beats Studio Buds+のスペック・外観チェック
スペック表
Studio Buds+ | |
価格 | 24,800円 |
連続再生時間 | 9時間 36時間(ケース込) |
ドライバー | 不明 |
コーデック | SBC・AAC |
防水性能 | IPX4 |
ノイキャン | ○ |
マルチポイント | - |
専用アプリ | ○ |
低遅延モード | - |
その他の機能 | 空間オーディオ対応 |
2台同時接続可能なマルチポイント機能やゲーム時の遅延を低減する低遅延モードは搭載されていません。
そしてイコライザーがないのが痛いですね。
空間オーディオがあるのは強みといえますが、使うには【iPhoneまたはDolby Atmos対応Androidスマホ】+【Apple Music】の組み合わせが必要。
機能的には最近のこの価格帯の完全ワイヤレスイヤホンとしてはやや物足りないといった感じです。
便利機能 | S・A・B・C・D |
---|
イヤホン本体
イヤホンケース
外箱・付属品
付属品リスト
- イヤーピース
- 充電用USB Type-Cケーブル
- WEBマニュアルへのQRコード
(紙の説明書無し)
Beats Studio Buds+ 測定データ
重さ・サイズ実測値
ケースサイズ | 縦:51.5mm 横:72.8mm 高さ:26.0mm |
重さ | イヤホン:5.2g ケース:49.4g |
重さは最近のTWSでは平均的。
イヤホンケースはそこそこのサイズ感がありますが、ポケットにすっと入るくらいの薄さなので持ち運びには問題ありません。
携帯性 | S・A・B・C・D |
---|
遅延測定結果
Android・PC その他 | iPhone | |
通常時 | 282ms | 355ms |
低遅延時 | - | - |
100ms=0.1秒です。
この測定環境ではスピーカー出力時52msの遅延を観測します。
結果から-52msした数値をワイヤレスイヤホン由来の遅延と考え表に記載しています。
- Androidでは約0.282秒の遅延
- iPhoneでは約0.355秒の遅延
ゲームではやや遅延を感じると思います。
特にAACで接続されるiPhoneではストレス多そうです。
動画視聴はアプリ側で遅延補正してくれるもの(YoutubeやNetflixなどサブスク系全般)は問題ありません。
ただしiPhoneではYoutubeアプリの遅延補正がきかないのでブラウザから視聴する必要があります。
詳細⇒【iPhone】音ズレ対処法!BluetoothイヤホンでYouTube動画を観ると遅延が気になる問題の原因と解決策
交換イヤーピース対応表
SONY ハイブリッドイヤーピース(M) |
○ | AZLA SednaEarfit Crystal(M) |
○ |
SONY トリプルコンフォートイヤーピース(M) |
○ | final TYPE E(M) |
○ |
COMPLY TG-200 トゥルーグリップ(M) |
○ | Spinfit CP360(M) 後継→OMNI |
○ |
NUARL Magic Ear+(M) 後継→Magic Ear+7 |
○ |
(自分がよく使うTWSイヤーピース+SONYのイヤピ2種との対応表です)
どのイヤホンもしっかりはまり、ケース内でも干渉しませんでした。
イヤホンの形状は独特ですが、ノズルは割りとベーシックな形をしているので大半の汎用イヤーピースとマッチするのではないかと思います。
Beats Studio Buds+ 詳細レビュー
音質評価
独自のアコースティックプラットフォームで、パワフルで臨場感あふれるサウンドを実現とのこと。
たしかに全域に渡って明瞭でパワフルです。
特に中音域は非常に厚みがあって聴き応えがあります。
ボーカルも力強く、情感もしっかりと感じられてレベルが高い。
しかし…
低音はそこそこの量感で、少し輪郭がぼやけて滲むような低音。
結構他の音域に侵食してきます。
高音も強調感強めで、曲によっては控えめに鳴って欲しい楽器が主張しすぎて気になることも。
全域に渡ってぐいぐい前に出てくるのでちょっと聴き疲れしやすいです、個人的には。
派手に鳴るイヤホンが好きな人は好みかもしれません。
音質 |
|
8.1/10 |
---|
Apple MusicでBeats Studio Buds+の空間オーディオを試す
64台のスピーカーに囲まれているような感覚が楽しめるという空間オーディオ。
正直ステレオで聴いているときは悪くはないけど値段を考えるとなぁ…と感じてしまった音質。
しかし、Apple Musicで空間オーディオを聴いた瞬間一気に面白い存在となりました。
64台のスピーカーは大げさだろ~と思っていたんですが、凄いです。
全方向から音の波が押し寄せるような感覚。
【iPhoneまたはDolby Atmos対応Androidスマホ】+【Apple Music】と利用するためのハードルはやや高めですが…
再生できる環境があって空間オーディオに興味があるなら一気に買いだなと感じるレベルまで評価UPしました。
ノイズキャンセリング機能の比較
3倍の大きさに改良されたマイクなどの効果でノイズキャンセリング効果がUP。
ノイズキャンセリングの効き目は前作の1.6倍とのこと。
実際に試してみると確かにかなりのノイズカットを実感できます。
低音は大きなノイズもほぼ無音に近いところまでカット。
中音・高音もかなりカットできており、ここまで効くものはそれほど多くはない印象。
他のノイキャンイヤホンと比べてみました。
SONY WF-1000XM4と比較すると、まだまだWF-1000XM4のほうが上だなという印象。
中音・高音のカット率がだいぶWF-1000XM4のほうが高いです。
次にほぼ同じくらいの価格でそれなりに強力なノイキャンを有する(-42db評価)のHUAWEI FreeBuds Pro2と比較。
今度はBeats Studio Buds+のほうが中音以上のノイズを大きくカットできていると感じました。
-43db評価のEarFun Air Pro 3と比べてもまだ僅かにBeats Studio Buds+のほうがノイズカットが効いている印象。
Noble Falcon ANCと比較してみるとほぼ同じくらいの効き目かなと。
ただFalcon ANCはフォームタイプのイヤーピースで遮音性をあげているので装着感はBeats Studio Buds+のほうが良いです。
2万円台までで買えるノイキャンTWSの中ではトップクラスに強力と言えそうです。
(参考:Beats Studio Buds+のノイズキャンセリングの強さをAirPords Proなど他のイヤホンと相対比較|ANC強度ランキング)
ノイキャン |
|
9/10 |
---|
外音取り込み機能の評価
前作の2倍の精度になったという外音取り込み機能。
実際に試してみるとイヤホンをしていない時とほぼ変わりない感覚で外音が聞けます。
ほぼ、というのは若干ですがマイクで取り込んで増幅してる感というか…艶感が減ってカサついた感じの音になるんですよね。
ほとんど違和感ないのですが、AirPods Proのようなイヤホンをつけているのを忘れるような最高クラスの自然な取り込み音とまではいっていないです。
でもBeats Studio Buds+も外音取り込み機能のレベルは高いと言えます。
音量は全く問題なく、透過している感覚は十分。
“ながら聴き”も余裕で可能です。
外音取り込み |
|
9/10 |
---|
装着感評価
3つのベントが装着時の圧力を低減、一日中ずっと快適に過ごせる…との触れ込み。
実際に使ってみて思うのは、1日中着けていられるけど着けていたくはないって感じですかね…
独特の形状が耳穴にピタッとフィットします。
なので密着感は結構強めです。
上の画像のような正しい装着方法で微調整しないと耳が痛くなります。
ベストポジションをみつけると耳によく馴染む感覚があって密着感の割に密閉感はそこまでないといった感じ。
耳疲れはそれほど起きません。
これがベントで圧力を低減している効果なのでしょうか。
ただ最近はAirPods Proをはじめ、装着感の軽い完全ワイヤレスイヤホンが随分増えてきています。
それらと比べて密着感のあるこのイヤホンが特別良い付け心地とは思えないですね。
ただ、運動などで使ってもびくともしないフィット感は評価に値するでしょう。
軽い装着感よりもピッタリフィットするほうが好みな人には良いかもしれません。
装着感 |
|
7.5/10 |
---|
マイク性能・通話品質について
Studio Buds+での通話は非常にノイズに強いのが特徴ですね。
かなりの雑音がする場所にいても相手に伝わるノイズはごく僅かでした。
風切り音にも強いです。
ただ、声は結構人工的な感じ。
そしてノイズ処理が強すぎるのか自分の喋っている声も言葉尻などがカットされてしまいがちでした。
かなりハキハキと喋らないとノイズと一緒にカットされてしまうことがしばしば。
まぁこれは自分のゆるい喋り方に問題がある可能性も…結構あるかもです…笑
通話品質 | S・A・B・C・D |
---|
操作方法と操作性評価
L側 | R側 | |
1クリック | 再生/停止 | 再生/停止 |
2クリック | 曲送り | 曲送り |
3クリック | 曲戻し | 曲戻し |
長押し | モード切替 ・ノイキャン ・外音取込 |
モード切替 ・ノイキャン ・外音取込 |
押し間違いの無い物理ボタン式です。
ボタンを押し込んだときに圧迫感を感じない構造になっているので不快感もありません。
専用アプリからANCモードの切り替えを音量UP/DOWNに変更することができます。
左右別々に割り振ったりすることができないので、ノイキャンか音量どちらかのコントロールを外すしかありません。
操作性 | S・A・B・C・D |
---|
Android用 専用アプリ【Beats】の主な機能
Android用アプリに対応となっていますが、できることはほとんど無いです。
- ノイズキャンセリング・外音取り込み機能・ノーマルの切り替え(イヤホンからも操作可能)
- 操作カスタマイズ(限定的)
- 『探す』機能
使って気付いた注意点まとめ
- イヤホンケースは結構指紋がつきやすい
- イヤホンの磁石が強めなのでケースから取り出す時こぼさないように注意
- 空間オーディオは【iPhoneまたはDolby Atmos対応Androidスマホ】+【Apple Music】でのみ利用可能
総合評価と代替候補
メイン機能評価
音質 |
|
8.1/10 |
---|---|---|
ノイキャン |
|
9/10 |
外音取り込み |
|
9/10 |
装着感 |
|
8/10 |
使い勝手評価
操作性 | S・A・B・C・D |
---|---|
携帯性 | S・A・B・C・D |
便利機能 | S・A・B・C・D |
通話品質 | S・A・B・C・D |
Beats Studio Buds+は強力なノイズキャンセリングとApple Musicで利用できる空間オーディオが魅力の完全ワイヤレスイヤホンです。
空間オーディオを再生できる環境があるなら非常におすすめです。
逆に空間オーディオが使えないなら総合評価7.5くらいかな?
値段の割にノイキャン関連と空間オーディオ以外の機能性はいまいち。
イコライザーがなかったり操作ボタンもほぼ割り振れないなど、カスタマイズ性が低いのも痛いところ。
空間オーディオ無しならコストパフォーマンスはあまり良い方では無いと思います。
空間オーディオを使える環境にあるかどうかが鍵となりそうです。
代替候補について
約1万円ほど安くてヘッドトラッキング付きの空間オーディオが利用できるAnker
Liberty4がおすすめです。
空間オーディオの臨場感はStudio Buds+のほうが上ですが、音像が正面に固定されるヘッドトラッキングもまた面白い機能です。
(右を向けば左耳から音が聴こえ、後ろを向けば後ろから音が聴こえる)
また、Liberty4の場合は使用環境を選ばずAnkerアプリで空間オーディオをONにするだけでどの音源に対しても使えるのもポイント。
ノイキャンは僅かにBeats Studio Buds+のほうが効きますが、マルチポイントやイコライザーなど機能面はLiberty4のほうが遥かに豊富。
コスパ重視なら間違いなくLiberty4のほうが良いでしょう。
今回は以上となります。
また次回のレビューでお会いしましょう。