前回は下部尿路疾患(FLUTD)関連の病院に行くべき兆候について書きましたが、今回はFLUTD(主に尿路結石)にならないためのフード・食事法について書いていきたいと思います。
前回の記事はこちら。
なぜ猫は結石が出来やすいのか
猫は元々砂漠の生き物なので、少ない水分で老廃物を排出するため凝縮した濃度の濃いおしっこをします。
その濃いおしっこ中のマグネシウムなどのミネラルが結石化することで尿路結石になるそうです。
更に困ったことに猫は水を飲むのをサボる生き物なんですよね。
寒かったり面倒くさかったりするとすぐにサボるので水飲み場を複数用意してやるなどの工夫が必要です。
十分な水分を取らせること・下部尿路疾患に配慮したフード(餌)を与えることが病気を防ぐ鍵です。
下部尿路疾患に配慮したフード(餌)の選び方
最近はFLUTD配慮のフードが増えてきてほとんどの餌でそのような表記がみられますが、配慮って書いてあればどれでもいいかというとそうでもないように思います。
それからすごく勘違いしている人が多いのですが、c/dなどの表記のある療法食とFLUTD配慮フードは別物です。
療法食はPHコントロールによってすでに出来てしまっている石を溶かすための食事で、獣医師の相談のもと与える食事ですから常食には向いていないはずです。
あげてはいけない物
FLUTDケアフードとは関係ありませんが、一応・・・。
かつお節
猫はかつお節が大好きです。
めちゃくちゃ食いつきますが・・・あげてはいけません。
かつお節にはミネラルが多く含まれていて、それが結石の元になります。
にぼしも同様に腎臓に負担がかかるのであげてはいけません。
高硬度のミネラルウォーター
かつお節と同じ理由ですが、水道水じゃ体に悪そう!と思ってミネラルウォーターをあげる人もいるとか。
硬度に配慮した猫用のミネラルウォーターもあるそうですが、水道水のほうが雑菌が繁殖しにくいなど利点もあるので水道水で十分でしょう。
ちくわ
ちくわ好きといえばハットリくんの獅子丸。
獅子丸は犬ですが・・・これもダメです。
魚肉のすり身だから良いと思ってる人もいますが、塩分が強いのでNGです。
余りオススメできないフード
国産フード
人間の食べ物なら国産が一番安全という認識を日本人の誰しもが持っていると思います。
しかし、ペットとなると話は別です。
日本はどちらかといえばペット後進国で、欧米に比べてペットの権利に関してはかなり遅れていると言われています。
これはフードに関しても当てはまっていて、より厳しい基準で安全性を求められて作られる海外製品に人気が集まっています。
ネット上で異様に評価の高いフード
ペットも好みは十人十色ならぬ十匹十色で、口にあう合わないはどうしても出てきます。なのでレビューで評価が割れるのはある種当然のことのはずですよね?
しかしネット上では異様に評判が良く、高評価レビューばかりつくフードがいくつか存在します。
名前を出しちゃうとシンプリーとかカナガンとかですよ。
僕自身これらのフードを実際に与えたことがあるわけではないのであまり突っ込んだことは言えませんが、これらのフードの高評価レビューの大半は商品紹介で得られる高額報酬目当ての嘘レビューだと思って間違いないでしょう。
カナガンのサイトをみてみると、1つの餌で子猫からシニアまで全年齢対応だとかわけのわからないことが書いてあるので到底信用できません。
愛猫家の間で評判の良いフード
『ロイヤルカナン』『ヒルズ』
ヒルズでピンとこなくても商品名の「サイエンス・ダイエット」なら分かる方も多いのではないでしょうか。
ロイヤルカナン・ヒルズ共に長くペット愛好家に好んで使われてきた、病院でもよくオススメされるフードです。
(シンプリーやカナガンを売りつけるためにロイヤルカナンやヒルズを酷評してそれらをプッシュするサイトが非常に多いので注意)
しかしロイヤルカナンについてはアジア向けの生産拠点がフランスから韓国に代わることが発表されているので、その辺はちょっと気になるところですね。
韓国は日本以上にペット後進国なので・・・。
バーコードの左端が【880】になったら韓国産になったということらしいので、切り替わるタイミングでロイヤルカナンから離れる飼い主も多いかもしれません。
(ロイヤルカナンをあげている知り合いの話では今のところは韓国産ではないそうです。2017年からとの噂。)*2016年 7月1日現在
獣医師に薦められた食事方法
うちの猫はヒルズの総合栄養食を与えていたのですが、一度結石になった後にすぐにまた結石が再発してしまいました。
その際、病院で言われたのが水分の摂取量が足りていないということ。
ケアフードを与えても水分摂取が足りなければ意味がなく、逆に水分さえしっかり取れば改善することも多いそうです。
そこで水分量の多いウェットフード(缶詰やパウチ)にかえることをすすめられて実践。
すると最悪だった血液検査の数値がみるみるうちに改善され、結石も再発しなくなりました。
今ではドライフードをお湯でふやかして与える方法を取っていますが、先生にこのやり方を相談した時「それができれば最高だけど、食いしん坊じゃないと食べてくれないかも」と言われたのでグルメな猫だと難しいかもしれません 笑
うちの猫のように食いしん坊な猫ならベストな方法かなと思います。
ケアフードをあげていても再発してしまう、水分摂取量が足りてないという方はウェットフードorドライフードをお湯でふやかす方法を検討してみてください。
でもどれくらい水分を取ればいいのかわからないですよね。
うちの猫もちゃんと水は飲んでるから大丈夫だろうと思ってました。
猫の一日に必要な水分摂取量
24時間の維持水運要求量の計算式は色々ありますが、これはその一つ。
体重の0.75乗×70
例えば体重が4kgの猫であれば
4(kg)^0.75×70(ml)=197.99(ml)となります。
上記を参考に猫の水分摂取量を把握して足りなければウェットフードへの切り替え、もしくはドライフードとウェットフードの併用を検討すると良いと思います。
まとめ
簡単にまとめます。
・水分をしっかり自分で取れる猫
→FLUTD配慮食
・水分をちゃんと取れていない猫
→ウェットフードorドライフードにお湯
水分をしっかり取ることで結石だけでなく膀胱炎などFLUTD全般に強くなるそうです。
あとがき
8年前、動物病院で結石を取った後のこと。
血液検査の結果をみた先生にこう言われました。
「すべての数値が異常に悪い。いつ死んでもおかしくない。」
その場で膝から崩れ落ちてこっちが先に死ぬかと思いましたよ 笑
ただ可愛がるだけじゃ動物は飼えない。
無知だったことをとても後悔しました。
それからは一生懸命ケアに努めましたし猫のことも勉強したつもりです。
今年で15歳。
いつか来るその日まで、しっかりと1つの命に責任を持てたといえるように頑張りたい。
この経験が少しでも他の飼い主さんの参考になれば幸いです。
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